東京工業大学トレーニングルームの天井脱落対策に貢献 超軽量天井材「かるてん®」の採用について
2014年10月8日
帝人株式会社(本社:大阪市中央区、社長:鈴木 純)が開発した超軽量天井材「かるてん」が、このたび、国立大学法人東京工業大学(東京都目黒区)の屋内運動場にあるトレーニングルームの天井材として採用されました。
これは、同トレーニングルームの天井脱落対策工事において、安全性を高めるために採用されたもので、「かるてん」が公共構造物で本格的に採用されたのは初めてのことです。
「かるてん」は、従来の天井材に比べて柔らかく、重さが約10分の1と軽量であるため、天井の仕上げ材(表面を形成する素材)として使用することにより、万一、天井が落下した場合にも、安全確保に大きく貢献することができます。
帝人はこのたびの採用を契機として、今後、「かるてん」を本格的に展開していきます。
1. 「かるてん」について
「かるてん」は、帝人が展開するポリエステル製タテ型不織布「V-Lap」*1を基材として開発されたもので、以下の特長があります。
・ 超軽量
重量は1m2あたり約0.7kgで、一般に天井材として広く使われている石膏ボードの約10分の1、ロックウールの約7分の1の軽さを実現しました。これを天井の仕上げ材として使用することにより、天井全体の軽量化を実現することができます。また、軽量かつ薄型であることから、天井材の運搬や施工作業の効率化を期待することができます。
・ 柔らかい
ポリエステル製であることから、従来の天井材に比べて柔らかく、万一、天井が落下した場合も、被害を最小限に抑えることが期待できます。
・ 燃えにくい
建築基準法の規定に基づく不燃材料として、国土交通大臣の認定を取得しています。
・ 吸音性能と断熱性
「V-Lap」の特徴である垂直方向に配向させた不織布構造により、吸音性能と断熱性を備えています。
・ 環境にやさしい
「V-Lap」は、使用済みペットボトルを再生したマテリアルリサイクル繊維で作られています。また、接着剤を使用していないため、揮発性有機化合物の発生がほとんどありません。
*1 「V-Lap」 : 特殊な製造方法により、繊維を垂直(タテ)方向に配向させた不織布。嵩高構造により、軽量性や易成型性などの特徴を有する。
2. 今次採用の背景・経緯
(1)本年4月に施行された国土交通省告示第771号において、新たに特定天井*2の脱落防止措置に関する条項が加わり、今後、地震などの強い衝撃に対する構造耐力上、より安全な天井の使用が求められるようになりました。
(2)こうした中、東京工業大学において、構内にあるトレーニングルームの天井脱落対策工事が実施されることになり、そこに使用する天井材を検討する過程で、「かるてん」が安全性をさらに高められる天井材として評価され、採用されることになりました。
(3)この天井脱落対策工事は、国土交通省が定める特定天井の構造方法を参考に、施工場所である広さ約200m2のトレーニングルームで「かるてん」に適した天井下地の補強方法の検討実験を行い、その結果を用いて施工し、本年9月に完了しました。
(4)今回の天井脱落対策は、「かるてん」の仕様や施工について共同開発を進めている建築用鋼製下地材メーカーの株式会社桐井製作所(本社:東京都千代田区、社長:桐井 隆)との共同により施工したもので、天井の仕上げ材として「かるてん」、下地材として桐井製作所の「新耐震Full Power天井」*3が採用されています。
*2 特定天井 : 脱落によって重大な危害が生ずる恐れのある天井。具体的には、6m超の高さにある、面積200m2超、質量2kg/m2超の吊り天井で、人が日常利用する場所に設置されているものを指す。
*3 「新耐震Full Power天井」 : 桐井製作所の耐震天井工法のうち、特定天井の構造方法に準拠した設計に使用可能な天井下地材。
3. 今後の展開
建築構造物の安全性を大きく向上させるソリューションとして、まずは質量2kg/m2超の天井の仕上げ材向けとして「かるてん」の販売を開始します。
一方、「かるてん」の特長である軽さを最大限に活かすために、特定天井の対象外となる質量2kg/m2以下の天井に向けても、下地材を含む天井材の開発を進めています。
■当件に関するお問い合わせ先
・報道関係のお問い合わせ
帝人株式会社 コーポレートコミュニケーション部 03-3506-4055
・その他のお問い合わせ
帝人株式会社 エンジニアリングファイバー部 フリクション・シール課 03-3506-4873
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